BKP(バルーン椎体形成術)
BKP(バルーン椎体形成術)

Balloon Kyphoplasty

BKPとは

骨粗しょう症患者は日本国内に1,000万人いると言われており、そのうち80代女性の40%が椎体骨折を合併していると言われています。原則、コルセットやギプスなどの保存療法をとりますが、そのうち1~3割が奏功せずに腰の曲がりが進行や痛みによるADLの低下、神経障害を合併する症例があります。なかなか治療が進まない場合は外科的治療の検討が必要とされます。従来の脊椎固定術に加え、新しい手術として開発されたのがバルーン椎体形成術(BKP)です。これは1990年にアメリカで開発され、2011年に日本でも公的保険が適用となりました。脊椎固定術に比べ患者さんの体への影響が少なく世界でも85万件以上の実績があります。当院でも2017年の新病院移転以降、機器を導入し、治療にあたっています。

治療が適応される方

  • 加齢や女性ホルモンの低下、生活習慣が引き金となる原発性骨粗しょう症による1椎体の椎体圧迫骨折で、保存療法で痛みは改善されない方
  • 多発性骨髄腫または転移性骨腫瘍による3椎体までの有痛性脊椎圧迫骨折で既存療法では効果がない、または効果がないと考えられる方

治療が望まれる症状

  • 保存療法を2週間以上おこなっても痛みが軽減しない
  • 体動時と安静時の両方に痛みがある
  • 椎体不安定性が大きい
  • 認知症等で保存療法が困難と考えられる

治療ができない方

  • 後壁破裂骨折がCTで確認された場合
  • 骨折の形状により機器が使用できない場合
  • 終板が損傷している
  • びまん性特発性骨増殖賞、強直性脊椎炎に伴う骨折

治療方法

  1. バルーンの挿入
    手術は全身麻酔でおこないます。背中の左右2か所を5mmほど切開し、バルーンのついたカテーテルを挿入します。
  2. バルーンの拡張
    バルーンを拡張し、圧潰した椎体を出来るだけ骨折前の形状に近づけます。バルーンは400psi(27気圧)まで加圧可能です。※自動車のタイヤは2気圧程度
  3. セメントの充填
    バルーンを縮小させ抜去。体内の組織を周囲に押し固めるように形成された隙間を満たすように、高粘稠度の骨セメントを充填します。
  4. セメントの硬化
    器具を抜去し、骨セメントの硬化を待ちます。硬化を含めた手術時間は30分程度です。術後は骨粗しょう症治療の継続やコルセット装着などが推奨されます。