四十肩、五十肩 Frozen shoulder
厚生労働省が3年ごとに行っている国民生活基礎調査では「肩こり」は男性、女性ともに現在困っている身体不調の第2位となっています。肩の痛みを「肩こり」でまとめてしまっていますが、この中には様々な肩疾患が含まれていると推測されます。なかなか良くならない「肩こり」には注意が必要です。生活や仕事、運動などに支障が出てしまう肩の疾患が隠れています。中でも発生頻度が高く知っていただきたいのが「五十肩」です。
※本ページでは四十肩、五十肩を「五十肩」と記載します。
皆さんが普段使われている五十肩のことを専門用語では凍結肩と呼ばれます。まるで肩が凍って硬くなったかのように可動域が狭くなり、痛みを伴います。英語でもそのまま「frozen shoulder」と呼ばれています。ここ10年で「五十肩」の研究が進み、その治療法が大きく変わって来ています。
五十肩の原因
これまでの研究から、「五十肩」は肩関節の炎症であることが分かっています。肩こりは肩周囲の筋肉の緊張です。炎症は通常のレントゲンやMRIでは写すことができませんが、造影剤を用いた特殊なMRIを行うと炎症を写し出すことが出来ます。肩に負担がかかったり、肩を捻ったりなどをきっかけに炎症が起こりやすくなります。一方で、高血圧、高脂血症、糖尿病など血管の炎症(動脈硬化)に影響する生活習慣病があると「五十肩」になりやすいと報告されています。特に糖尿病があると通常の5〜10 倍、「五十肩」を発症すると言われております。また、糖尿病により通常の五十肩よりも治りにくくなります。
五十肩と肩こりの痛みの違い
「五十肩」と「肩こり( 首こりも含む)」は、痛みの場所が異なります。
※五十肩と肩こりが同時に出ることもあります。
五十肩
(肩前後・上腕(二の腕)肩関節内の炎症)
肩こり
(首から肩、背中の筋肉の緊張)
五十肩セルフチェック
次の5項目で3項目以上に当てはまる場合は「五十肩」が疑われます。
五十肩の経過
五十肩の経過は主に3段階に分けられます。
➀炎症期
肩痛が発症してから特に痛みが強い時期
夜間痛や強い運動時痛がみられます。この時期に無理に肩を動かそうとすると症状が悪化します。無理をしなければ徐々に拘縮期に向けて肩が硬くなって行きます。
治療方法
・安静(非常に大切!)
・鎮痛剤服薬
・肩関節注射
②拘縮期
肩痛が少し治まり、肩関節が硬くなる時期時期
硬くなった関節は無理に動かすと痛みを生じますが、炎症期のような強い痛みは薄らいで来ます。この時期は少しずつ肩を動かして行きます。肩関節の負担を減らすために肩周囲の筋肉をほぐし、肩甲骨や肋骨などの動きを出して行きます。
治療方法
・リハビリテーション
③回復期
硬くなった肩関節が徐々に改善してくる時期
この時期は自宅でセルフでのストレッチを行い、落ちてしまった肩の筋力の改善を図るようにします。「五十肩」を繰り返す方は少ないですが、無理をすると再発することもあるので注意が必要です。
頸椎神経根ブロック下肩関節受動術
特に治りにくく、経過の長い「五十肩」の患者さんに勧めている治療法が頸椎神経根ブロック下の肩関節授動術です。炎症期と拘縮期がともに「強い痛み」と「肩の硬さ」がみられる方に勧めています。この治療のメリットは、「痛み」と「硬さ」を同時に改善させるところです。その効果と安全性も確認されており、保険治療で可能な治療法になります。
- 外来にて1時間程度の治療で済みます(車の運転はできません)
- 翌日からリハビリ治療をおこなうことで大きな可動域改善が期待できます
超音波を用いて安全に頚椎神経根をブロック注射します。
麻酔して約20分後にゆっくり肩関節をストレッチします。関節内の硬くなった部分を剝がしていきます。
翌日から肩を動かすリハビリを積極的におこないます。